誓願寺の大地蔵(梅園町)

 むかし、梅園の諏訪山あたりに、働き者の石工(いしく)夫婦が住んでいました。

夫婦には、一人のかわいらしい男の子がいました。 ところが、ある時、その子が高い熱を出してねこんでしまいました。

いろいろ手をつくしましたがいっこうによくなりません。夫婦は心配で心配で、「どうか、この子の病気を治してくだせえ。わたしたちにできることなら何でもします。」と、仏様におねがいしました。

そうしたある日のことです。二人のゆめまくらに仏様が現れ、「お地蔵様を作りまつるがよい。」と言って、すうっと消えました。

さっそく二人は、小さな石のお地蔵様を作って、ほこらにおまつりしました。そして、朝夕、一心におまいりしました。
誓願寺の大地蔵

すると、どうでしょう。あれほど高かった子どもの熱が、下がってきたではありませんか。顔色もよくなり、食よくも出てきました。「ありがたいこった。みんな、お地蔵様のおかげだぞん。」二人は、そっとなみだをふきながら、お地蔵様に向かって手を合わせました。
 
それからというもの、この話を聞いた村人たちも来るようになり、お地蔵様の前は、いつも人でいっぱいになりました。ある朝のことです。

いつものようにほこらにやってきた二人はびっくりしました。まつってあったお地蔵様がないのです。「な、なんちゅうことだ。」「えらいこった。はよう、村のしゅうに知らせにゃ。」村の人々も集まってきました。「だれかが持っていったんだ。」「いや、子どもの病気が治ったもんで、自分からすがたをおかくしになったんじゃ。」大さわぎをしている村人たちの中を、二人はそっとぬけ、お地蔵様をさがしに行きました。

村じゅうをたずね、となり村まで行きましたが見つかりません。「子どもの命をすくってくださったお地蔵様なのに。申しわけない。」力を落とした二人は、ご飯ものどを通りません。

二人の様子を心配して子どもが言いました。「もういっこ作ったら。今度は、うんと大きくて、どこへも持って行けれんようなものを。」二人は、子どもがこんなことを言うのでびっくりしました。

「ううん、それはいい考えだ。」「よし、もうひとつ作るまいか。どこにもないような大きいお地蔵様を。」村人たちも、みんなで手つだうことにしました。

よいしょ、よいしょ。明くる日、大勢の村人が力を合わせて、二丈(約六メートル)もある大きな石を箱柳のおくから運んできました。

「さあ、はじめまいか。」二人は、ほりはじめました。カーン、カーン。コンコン、コンコンコン。のみで石をけずる音は、朝の暗いうちから夜中まで聞こえてきました。

こうして半年がたちました。「できた、できたぞ。」二人は声をあげました。高さ一丈六尺(約四・八メートル)もあるお地蔵様ができあがったのです。

「とうとうできましたね。」「ありがたいお地蔵様を、またおがむことができる。」村人たちも大喜びです。そして、みんなで相談して、このお地蔵様を、どこからでもおまいりできるようにと、諏訪山にたてることにしました。

これが誓願寺のお地蔵様だということです。

誓願寺の大地蔵